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『神武不殺の剣戟士 アクノススメ 』感想

神武不殺の剣戟士 アクノススメ (ファミ通文庫)
神武不殺の剣戟士 アクノススメ (ファミ通文庫)
西南戦争で警視庁抜刀隊が活躍したため廃刀令が撤回された別世界の日本が舞台。
その程度で帯刀が許されるようになるのでしょうか。いろいろ無理があるような……。

大正っぽい雰囲気なのにカードゲームが流行っていたりと妙に現代的で、学生に刀を持たせて剣術で戦わせるための舞台設定がうまく作られていないように思えました。

剣術の龍派はいろいろでてきますが、作者の方は剣術についてはそんなにくわしくないようでバトルの書き方が抽象的なのももったいないように感じました。

では、つまらなかったかというと、そのようなことはなく最後まで楽しく読めました。
キャラの設定が魅力的なんですね。そこを評価されて新人賞の特別賞を受賞したのだと思います。

うるさいガキを黙らせるために一緒に母親を探してやったなどとうそぶく自称悪人の主人公。
二天一流の使い手の美青年(でもオカマ)
常に台車に乗っている副生徒会長(居合い切りの達人)
などなど。
おかげで「ただの」天才剣士のヒロインがまったく目立ってなかったりしますが、まあ仕方がないですよね。

2巻で打ち切りのようですが、おもしろいキャラを作る才能のある方なので次の作品に期待したいと思います。


『僕に恋するメカニカル』感想

僕に恋するメカニカル (1) (カドカワコミックス・エース)
某ターミネーターのように、未来世界で人類と争う機械知性体が、人類側の英雄を抹殺するために過去に機械兵を送りこむ。目標は英雄の父親である主人公の殺害。元ネタと主人公の性別が変わっていますが、おもしろいのは主人公の種を入手して、英雄の消滅だけでなく英雄の遺伝子を持つ機械側の兵士を量産しようとするところです。

かくして、主人公のもとには種(つまり精子)を得ようと美少女機械兵が押し寄せてくることに。

趣味の合うかわいらしい後輩が迫ってきたり、映画的な愛の逃避行→雨に濡れてそれから……など罠とわかっていてものめりこんでしまいそうになる攻撃をしてきます。

元ネタはもちろんターミネーターなのでしょうが、それをうまいことコメディに落としこんでいるところに作者の技を感じます。個人的にはアニメになってほしいと思う作品です。これはおすすめ!

『死なない生徒殺人事件』感想

死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死 (メディアワークス文庫)
矛盾したタイトルどおり、自分を「死なない」と言った少女が何者かに殺され、そして宣言どおりに復活します。

不死についてオカルト的でない実現できそうな理屈がつけられているのもいいですね。そんなのありか!と思ってしまいましたが。テンポの良い文章で、かつどんでん返しが複数あるという自分好みの小説でした。おすすめです。

『半導体探偵マキナの未定義な冒険』感想

半導体探偵マキナの未定義な冒険

「名探偵に深刻なエラーが発生しました」


エラーを起こして研究所を飛び出した探偵ロボット3体を、正常なまま残っていた最後の1体「マキナ」と発明者の孫の高校生コンビが追いかける。町のあちこちで捜査をしている探偵ロボットはエラーのためにどこかおかしい。どのようなエラーになっているのかというのが読ませどころとなっています。

と書いておいてあれですが、エラーを起こした探偵ロボを追いかけるパートより、ロボットらしい人間ばなれした能力で体当たり捜査を行うパートのほうがおもしろかったです。明らかになった3体の探偵ロボットのバグにいまいち驚けなかったので、この本は私には向いていなかったのかも。

前に読んだ同作者の『スノーホワイト』がおもしろかったので期待しすぎたのかもしれません。ですが、値段分は十分楽しめました。

『女子高生=山本五十六』感想

女子高生=山本五十六 (ワニノベルス)
ゲーム内にリアルに再現された第二次世界大戦当時の世界で、山本五十六のアバターを主人公の女子高生が操作します。

日本の勝利条件がアメリカ大統領の支持率を一定値以下にするというのも、ゲームだから可能な現実的な設定でよいですね。
現代の高校生の歴史教材であるため、なぜか長門に乗りたがる将兵が多いなどという小ネタも多くておもしろい。後知恵で作られる兵器や史実を知るが故に立てられるあっと驚く作戦など読みどころも豊富です。

艦これをちょっと触ったことがある程度の私でも楽しめたので、第二次世界大戦にくわしくない人が読んでもおもしろく読めると思います。
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