『金星特急』感想

金星特急 (1) (ウィングス文庫)
金星特急 (1) (ウィングス文庫)

『花婿募集

 条件:生殖能力のある男性
 報酬:この世の栄華
                 応募主:金星』

それだけ書かれたポスターとともに謎の列車「金星特急」が現れ、七日後に集まった花婿候補を乗せて走り出す。毎年現れるその列車から帰って来た者はいない。

シリーズの三作目辺りまでは、謎の美女金星の摩訶不思議な力で作り出されたクエストをクリアしていくRPG活劇のようなお話です。

様々な国出身の登場人物が意志の疎通に困らないようにするためだけの設定に思われた、世界のどこでも通じる共通語「世界語」が、物語の根幹に関わってきてびっくりしました。
その「世界語」の謎を追う人物や凄腕の傭兵集団月氏などが物語にからむようになり、徐々に群像劇の色を帯びていきます。頻繁に視点人物が切り替わるようになりますが、どのキャラも魅力的なので全七巻を一気に読んでしまいました。

金星に一目惚れして列車に乗り込んだだけに見えた主人公が、金星に見合う男になるために成長していくのもいいですね。
頭を振り絞って知恵をだし、金星の元にたどり着くまでどうにか列車に乗っていようとする主人公には好感が持てました。

もっと多くの人に読まれてほしい話です。少女系ライトノベルレーベルを手にとる男は少ないでしょうからもったいない。
私も某所のレビューをたまたま読まなければ存在すら知らないままだったでしょう。
アニメ……は無理でも漫画化しないものでしょうか。

本当に魅力的なキャラの多い物語ですが、好きな人物を一人だけ選ぶとしたら、やはり聖マセッティ騎士団に所属していた騎士ユースタスでしょう。
初登場時には白いマントと剣を身につけていて、主人公に「王子様」と形容されるこの人物は、外見同様の真の騎士の心を持っています。ユースタスの高潔さに心を打たれ、ほほえましい欠点に頬を緩め、その複雑な境遇を知ってからはなんとか幸せになってくれと祈るような気持ちでページをめくりました。

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